6月14日に起こった統一教会信者K氏の失踪事件に関して先輩のNさんの手記
2010年6月14日に統一教会信者K氏が失踪した件(17日付記事「6月14日、東京在住の統一教会信者K氏が失踪しました。」で既報)で、この男性信者の先輩で、拉致監禁サバイバーの一人であるNさんが、手記を寄せてくださいました。Nさんは2010年3月20日から7回にわたって手記を寄せていただいた方で、でPTSD闘病記を掲載させていただいた方です。→参照:PTSDと診断された方の報告
今回寄せていただいた手記の掲載は、本来はご本人の治療上好ましくないと思われますが、拉致監禁サバイバーを代表していただいて、その悲痛な叫びを社会の多くの人々に知っていただければということで、ご本人に許可をいただいて掲載するものです。
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今回、失踪した男性は、僕の大学・高校の後輩です。
つい数日前の土曜日に、彼と彼の婚約者と三人で楽しくお茶をしながら、これからの彼らの人生や家庭づくりについて話し合いました。
家庭においてもキャリアにおいてもこの子たちには幸せになってほしいなぁと思いました。
日曜日の夜遅く、彼は20分以上、婚約者と電話で話していたそうです。さぞかし甘い会話をしていたのでしょう。僕にもそういう時期がありましたね。
そして彼は月曜日に失踪した。彼のバイト先には朝、親から「緊急入院」という連絡があり、近所には「家族旅行。いつ帰るかは決まっていない」という話。
彼は、自宅に両親と一緒に住み、就職もいいところに決まり、教会活動はあまり熱心ではありませんでした。それでも、昨年、祝福を受けた日本人の彼女とはとてもラブラブで、一緒にいてとても幸せそうでした。親が拉致をしようと思うほど不安になるような要素がないはずなのに、それでも彼はやられました。私はとてもショックです。
彼はもともと親子関係がとてもよかったとか、学校や趣味とか、色々と僕と共通項が多く、どうしても自分と重なってしまいます。
彼が今どうしているのか、どういう人生になるのかと考えると胃や胸が痛み、体中が辛くなってきます。頭も回らなくなり、仕事も全く手がつかない。ただでさえ山積みされている仕事・・・どうしよう・・・どうでもいいや・・・
彼のことをできるだけ考えないように努めても、どうしても頭から離れません。会議中も相当、集中しないと彼のことを考えちゃいます。というか、会議なんかどうでもよくなってきます。
昨夜、家に帰る夜道、四つ角が近付いてくると無性に怖くなってしまいました。角から誰かが飛び出してくるんじゃないかと・・・そんなことはあり得ないとはわかってるんですけどね・・・でも怯えてしまうんです。
かと言って、人がいっぱいいることろに行くのも不安でした。電車の中、人にずっと囲まれることに耐える自信がありませんでした。歩いて帰れるわけもないし、一緒に帰れってくれそうな人をメールで探しました。
外を歩いていると、頭がぐるぐる回ってきて、涙がでてきて、よくわからないうめき声が口からでてくる。忘れていた記憶が頭に浮んできて・・・やばい、やばい、自分が壊れていく感覚。どうしよう、どうしよう。あの薬、どこにいれたっけ。道ゆく人の迷惑にならないように、顔も声も必死に抑えて、薬が効いてくるのを待つ。
なんか落ち着いてきた。これなら電車に乗れるかも・・・そう思って、駅に向かう。とにかく何も考えず、足元に集中します。でもなんかふらつく。電車に乗ったら、どうでもいいニュースを一生懸命よんで、どうでもいいゲームに集中して、頭を飽和させる。なんとか自分の駅までもった・・・ほっとする。
徒歩7分の自宅までの道のりに途方にくれる。「家に帰ろう」と自分に言い聞かせる。うまい具合に寄り道もせず家に到着。できるじゃないかと自分をほめる。家にたどり着かなかったことは過去に何度もあったから。
何事もなかったかのように妻に笑顔を見せて、服を脱いで、ベッドに直行。泣く。暗い部屋のなか。意識が広がる。はやく意識がなくなりたい。眠れない。薬はどこだ。あった。少し多めに飲もう。
朝起きたら、意外とすっきりしていた。彼のことを祈って、婚約者の彼女に励ましのメールを送る。ゆっくりと出かける準備をして、家をでる。職場につくころにはもうへとへとだけど、人の前では普通なふりができました。今のところ仕事でちょっと疲れがたまっているんです。すいません、みたいな。。。
本当は一人でいたい。でも一人も怖い。
弟と思えた彼には、家庭もキャリアも本当に幸せになってほしいと思っていました。今もそう思っています。信仰を選ぶか、選ばないかは自分で決めればいいんです。ただ、できるだけ人間として無傷で、早く出てきてほしい。自分みたいにはならないでほしい。こんな人をもう作らないでほしい。
PTSDと私が診断されて10か月が過ぎました。症状は悪くなったり、軽くなったり・・・最近はしばらく薬がいらなくなっていました。でも、拉致監禁と思われる失踪事件が起きるたびに、結局またあそこに連れて行かれるんだなとわかりました。
2011年1月30日、一部修正
すみません先ほど確認する前に書き込みボタンをクリックしてしまったため、名前も無いコメントが行ってしまいました。ですので文章もまだ未完成だったのですが大体の文意がお分かりいただけ、UP可能であれば、そのようにしていただければ、わたしも安心致します。
要は、ご両親が把握している以上のことを第三者から知らされる、という事になっていれば、あまりよろしくないことではないか、指摘したかっただけのことです。
以上の内容ですので、前回の失敗コメントと併せ承認不可でコメント表示されなくても構いません、申し訳ありません、ご判断よろしくお願い致します。
手記の編集責任は管理人にあります。ご指摘の婚約者の件、今後は個人情報には留意させていただきます。 なおこの手記は、拉致監禁被害者の方の心境を、拉致監禁体験のない多くの方々にもご理解いただきたいということで、管理人より依頼して寄せていただいたものです。被害者の多くの方はこうしたものを書くこともできない状態にありますので、大変貴重な手記です。またそれに対するコメントも、拉致監禁をなくす会には大変参考になります。ありがとうございました。